従業員さんから「退職届」を受け取ることがあるかと思います。
それを後日撤回したいと言われたときに、撤回しないといけないのでしょうか?
※温泉
退職するには
務めている会社を退職するには、会社と結んでいる労働契約を終了させないといけません。
その労働契約を終了させるには、通常「退職願」や「退職届」を書いて会社に提出して、決められた期日で退職していくのが多いのではないでしょうか。
その他の自由でも労働契約を終了することがあります。
労働契約の終了のパターンを大別すると次のとおりです。
①労働者または使用者のいずれか一方からの申し込みに相手方が応じることによる労働契約の終了
⇒「1合意退職(合意解約)」②労働者または使用者のいずれか一方からの労働契約の解約の申し入れによる終了
⇒労働者からの場合は「2任意退職」とか「辞職」とか言われます。使用者からの場合には「3解雇」になります。③あらかじめ労働契約、就業規則などで定められている労働契約の終了事由の発生による終了
⇒労働契約期間の満了(このうち労働者が更新を望み、それに使用者が応じない場合を「4雇止め」といいます。)、
5定年到達、6休職期間の満了など④労働者または使用者の消滅による終了
⇒労働者の死亡、会社の廃業・破産等
※しっかり学ぼう!働くときの基礎知識|確かめよう労働条件:労働条件に関する総合情報サイト|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
退職届の撤回
そんな労働契約の終了の「退職届」を提出した従業員さんが、後日になってその「退職届」を撤回したいと言ってきたときには、その撤回をしないといけないかどうかと悩むときがあるかもしれません。
会社が「退職届」を受け取って、会社が承諾すると、それは労働契約の終了をすることの合意が成立したことになります。
その合意が成立した後になって、「退職届」を撤回したいと言ってきた場合は、どうなるのでしょうか・・・
「退職届」を受け取って、承諾した後だったら、従業員さんから撤回したいと言われたとしても、撤回しなくても大丈夫です。
ただし、その従業員さんに残って欲しい場合は、「退職届」を撤回して、残ってもらうということもできます。
念のため、労働基準監督署に確認しましたら、そのようでした。
3 退職願の撤回について
合意退職の申し込みの場合には、使用者が承諾するまでの間は、その申し込みを撤回することができます。したがって、合意退職の申し込みのために退職願を提出した場合には会社の承諾があるまではそれを撤回することが可能と考えます。一方、任意退職の申し入れと認められる意思表示がされた場合には、労働者の意思表示が会社に到達し、会社が承諾すればその時点で効果が発生しますが、承諾しなければ2週間後に効力が発生します。会社が退職を承諾すれば、労働者が一方的に撤回することはできなくなります。
したがって、合意退職の申し込みを会社が承認した後や任意退職の申し入れをした後に、どうしても退職の意思表示を撤回したい場合には、会社の同意を得ることが必要となります。いずれにしても、退職の意思表示は慎重に検討したうえで行うことが大切でしょう。(大隅鉄工所事件 最高裁三小判 S62.9.18)
※しっかり学ぼう!働くときの基礎知識|確かめよう労働条件:労働条件に関する総合情報サイト|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
労働者の退職(労働契約の解除)には、労働者と使用者との合意による「依願退職(合意解約)」と、労働者の一方的意思表示による「辞職」とがあります。一般的に依願退職では「退職願」が、辞職では「退職届」が提出されますが、依願退職か辞職かは、書類の名称によって決まるわけではなく、書類の内容や作成の経緯、労働者の意思等によって決まります。
依願退職の場合は、労働者が退職を申し入れ、使用者がこれを承諾することで労働契約が終了しますので、使用者の承諾の意思が労働者に到達するまでは退職の撤回が可能とされています。
一方、辞職の場合は、労働者が辞職を使用者に申し入れた時点で労働契約の解除の告知の効力が生じ、労働契約に期間の定めがないときは、原則として2週間後に労働契約は終了し、期間の定めがあるときは、辞職にやむを得ない事由が必要ですが、直ちに労働契約は終了します。いずれも使用者に辞職を申し入れた時点で効力が生じますので、退職の撤回はできません。
※労務改善Q&A(令和4年6月7日更新) | 高知県庁ホームページ (kochi.lg.jp)
退職願を提出したということですが、これは、労働者が会社との合意による雇用契約の解約の申入れを行ったということであり、会社がこれを承諾するまでは、退職願を撤回することができます。
会社の承諾については、退職願の承認権限を有する者が、退職願を受理したことで雇用契約の合意解約が成立するとする裁判例があります(大隈鉄工所事件、最三小判昭62年9月18日)。
相談者の場合、退職願を撤回できるかどうかは、退職願の承認権限のある者が退職願を受理したかどうかで決まることとなり、退職願が直属の上司のもとに留まっていて、その上司は退職承認の権限を有していない場合であれば、退職願は撤回できると考えられます。
※労働相談 退職願の撤回 – 福岡県庁ホームページ (fukuoka.lg.jp)
私は、正社員として10年勤務していますが、このたび家庭の事情で会社を辞めたいと思い退職願いを提出しましたが、上司が受け取ってくれません。会社が同意してくれないと私は退職できないのでしょうか?
退職は、労働者の一方的な意思表示により効力が発生しますので、特に会社の承認は必要としません。民法では期間の定めのない雇用契約については、解約の申し入れ後、2週間(但し、月給制の場合は、当該賃金計算期間の前半に申し入れて下さい。)で終了することとなっており、会社の同意がなければ退職できないというものではありません(民法第627条)。
なお、会社の就業規則において、「労働者は1ヶ月前に退職を申し出なければならない」と定められている場合、民法の規定を任意法規と解して、こうした特約が許されるとする見解もありますが、裁判例では、これを強行法規と解するものもあり、見解が分かれています。
まずは、会社の就業規則の内容を十分ご確認ください。
※労働条件Q&A(退職、解雇、雇止め編) | 福岡労働局 (mhlw.go.jp)
【足あと】
息子が一人暮らししているアパートは、買い物が不便で、ときどき車で行って、飲み物とかを一緒に買い物しています。
三ヶ月前までは高校生だったのか・・と、不思議に思います。
この前までお弁当を毎日作っていたのか・・・
大変だったけど、日々の張り合いが少しなくなり、寂しさを感じます。
【先週のにっこり】
息子と買い物をしたこと
早めの父の日のお祝いで食事をしたこと
妹が手伝ってくれたこと