従業員さんのトラブルで、減給したい・・・  「次の給与から減給ね」って勝手にできるのでしょうか・・

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診療所を経営していると、従業員さんとのトラブル、従業員さん同士のトラブル等、いろいろな問題が起こると思います。

そんな中、トラブルを起こす従業員さんに対して、減給したい・・・と思って、次の給与から減給ってできるのでしょうか・・

※近所の桜

懲戒処分の種類

トラブルを起こす従業員さんに対して、なんらかの罰を与えたい・・・と考えたときに、給与を減額しよう・・・と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

トラブルを起こした=減給

は、できないことになっています。

段階を踏んでからでないと、その減給がまたトラブルの原因になりかねないので注意しましょう。

また、従業員さんが10人未満で就業規則を作ってないとなると、減給の処分をするのは難しいようです。(下記労働基準法91条参照)

従業員さんが10人未満で就業規則は義務ではないけれど、作成しておいて、診療所のトラブル対応の基準とするといいのではないでしょうか。

 

(懲戒の種類)
第63条 会社は、労働者が次条のいずれかに該当する場合は、その情状に応じ、次の区分により懲戒を行う。
①けん責
始末書を提出させて将来を戒める。
②減給
始末書を提出させて減給する。ただし、減給は1回の額が平均賃金の1日分の5
割を超えることはなく、また、総額が1賃金支払期における賃金総額の1割を超えることはない。
③出勤停止
始末書を提出させるほか、 日間を限度として出勤を停止し、その間の賃金は
支給しない。

④懲戒解雇
予告期間を設けることなく即時に解雇する。この場合において、所轄の労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告手当(平均賃金の30日分)を支給しない。

【第63条 懲戒の種類】
1 懲戒処分の種類については、本条に掲げる処分の種類に限定されるものではありません。公序良俗に反しない範囲内で事業場ごと決めることも可能ですが、就業規則で、減給の制裁を定める場合において、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない(労基法第91条)こととされています。
2 労働者が、遅刻や早退をした場合、その時間については賃金債権が生じないため、その分の減給は労基法第91条の制限は受けません。しかし、遅刻や早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、労基法第91条に定める減給の制裁に関する規定の適用を受けます。
3 労働者を懲戒解雇として平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支給せずに即時に解雇する場合、あらかじめ所轄の労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請し、その認定を受けることが必要です(労基法第20条)。労働基準監督署長の認定を受けずに即時に解雇する場合には、解雇予告手当を支給しなければなりません。

ホーム|厚生労働省 – 第11章 表彰及び制裁

ホーム|厚生労働省 – モデル就業規則

 

労働基準法91条

制裁として減給する場合でも、減給する金額に決まりがあります。

 

(制裁規定の制限)

第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
1回の制裁事案についての減給する金額は、平均賃金の1日分の半額を超えてはいけない
「1回の額が平均賃金の1日分の半額」とは
平均賃金=過去3か月間の賃金総額 ÷ 当該3ヶ月間の暦日数
暦日数は、定休日もお盆も正月も関係ない日数です。営業日数ではありません。
複数の制裁事案があっても、その減給する金額の総額が賃金総額の1/10を超えてはいけない
いろいろなトラブルを起こした従業員さんだからたくさん減給してやろう~なんてことはできません。
減給できる上限が決まっていて、その月に減給できなかった部分があるときは、翌月以降の給与から減給することはできます。

 

労働契約法15条

(懲戒)
第十五条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。
制裁としての減給は、そもそもその対象となる従業員さんの同意を得る必要はないのですが、上記に書かれているように
①客観的に見て合理性がある懲戒規定があること
②懲戒の適用の審議が公正に行われていること
③懲戒規定があらかじめ従業員さんに周知されていること
などの要件があります。
これらの要件を満たさないと、これまたトラブルの原因となりかねないですね。
減給に至るまでは、その問題の従業員さんと話し合いをして始末書を書いてもらい、それでも改善しなければまた話し合いを重ね。
他の従業員さんに迷惑をかける行為であれば、弁明書を書いてもらい弁明委員会を従業員さんの代表を交えて開いて、また話し合い。議事録もとります。
それでも改善しなければ、就業規則に従って、減給する。
もちろん就業規則を従業員さんには周知している前提です。
ここまですると、落ち度はないのではないかと・・・弁護士さんと相談して言われました。
独自で判断して減給をすると、トラブルになりかねないので、社会保険労務士さんや弁護士さんと話をしてみるのもいいかと思います。
個々の事案について、具体的な対応策を提示してくれます。
これでもかこれでもかと話し合いは重ねて、それを文章として残しておくのは大事だと思います。証拠として。
<参考>
従業員Bの勤務態度が悪く、遅刻もしばしばです。制裁として3か月間、給料を10%減らそうと思いますが、注意すべき点について教えて下さい。
減給の制裁を行う場合は、制裁の内容を就業規則に規定しておく必要がありますし、1回の事案による制裁は平均賃金の2分の1まで、また、一賃金支払期について数事案発生してもその合計額がその支払期賃金総額の10分の1までという制限がありますので、ご質問のような制裁は許されません。

一方的に給料を引き下げられました。これは労働基準法違反ではないのですか。

給料の引き下げが即座に労働基準法違反になる訳ではありません。しかし、労働条件通知書や就業規則に明記してある給料の額よりも実際に支払われる給料の額が少ない場合は、労働基準法第24条違反(給料の一部不払い)となる可能性があります。
また、就業規則の変更に伴う労働条件の変更等については都道府県労働局等に設置されている総合労働相談コーナーをご利用ください。

一方的に給料を引き下げられました。これは労働基準法違反ではないのですか。|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

【足あと】
雨が降った後でしたが、近くの公園に花見がてら散歩に行きました。
近くの公園にも大きな桜の木があり、満開でした。
少しひらひら桜が散って、とてもきれいでした。
【先週のにっこり】
桜がきれいだったこと
ゆっくり読書をしたこと
朝寝坊してけど、朝ゆっくりできたこと