雑所得と事業所得  給与と損益通算できるから副業しているから事業所得にしとこっと・・・いいんですかね?

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院長夫人

副業していて、診療所からもらう給与が多いから副業の収入を事業所得として確定申告していますか。

それは事業所得でいいのでしょうか・・・

※旅館で食べた美味しそうな海の幸

雑所得と事業所得の見極め

事業所得とは

農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で一定のものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く)をいう(所得税法27条)

雑所得とは
利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう(所得税法35条)

と法律に書かれています。

所得税基本通達という法律ではないですが法律の解釈文書には

事業所得は

(貸衣装等の譲渡による所得)
27-1 貸衣装業における衣装類の譲渡、パチンコ店におけるパチンコ器の譲渡、養豚業における繁殖用又は種付用の豚の譲渡、養鶏業における採卵用の鶏の譲渡のように、事業の用に供された固定資産を反復継続して譲渡することが当該事業の性質上通常である場合における当該固定資産の譲渡による所得は、事業所得に該当する。
27-2 いわゆる有料駐車場、有料自転車置場等の所得については、自己の責任において他人の物を保管する場合の所得は事業所得又は雑所得に該当し、そうでない場合の所得は不動産所得に該当する。

中略

(事業の遂行に付随して生じた収入)
27-5 事業所得を生ずべき事業の遂行に付随して生じた次に掲げるような収入は、事業所得の金額の計算上総収入金額に算入する。
(1) 事業の遂行上取引先又は使用人に対して貸し付けた貸付金の利子
(2) 事業用資産の購入に伴って景品として受ける金品
(3) 新聞販売店における折込広告収入
(4) 浴場業、飲食業等における広告の掲示による収入
(5) 医師又は歯科医師が、休日、祭日又は夜間に診療等を行うことにより地方公共団体等から支払を受ける委嘱料等
(6) 事業用固定資産に係る固定資産税を納期前に納付することにより交付を受ける地方税法第365条第2項《固定資産税に係る納期前の納付》に規定する報奨金
(金銭の貸付けから生ずる所得が事業所得であるかどうかの判定)
27-6 金銭の貸付け(手形の割引、譲渡担保その他これらに類する方法による金銭の交付を含む。以下この項において同じ。)による所得が事業所得に該当するかどうかは、その貸付口数、貸付金額、利率、貸付けの相手方、担保権の設定の有無、貸付資金の調達方法、貸付けのための広告宣伝の状況その他諸般の状況を総合勘案して判定する。
以下省略

所得税基本通達27条

 

雑所得は

(雑所得の例示)
35-1 次に掲げるようなものに係る所得は、雑所得に該当する。
(1) 法人の役員等の勤務先預け金の利子で利子所得とされないもの
(2) いわゆる学校債、組合債等の利子
(3) 定期積金に係る契約又は銀行法第2条第4項《定義等》の契約に基づくいわゆる給付金
(4) 項《還付加算金》又は項《還付加算金》に規定する還付加算金
(5) 号《加算金の裁決》に規定る4《過怠金の裁決》に規定する過怠金
(6) 人格のない社団等の構成員がその構成員たる資格において当該人格のない社団等から受ける収益の分配金
(7) 法人の株主等がその株主等である地位に基づき当該法人から受ける経済的な利益で、24-2により配当所得とされないもの
(8) 項((生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等))、項((損害保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等))、条((相続等に係る生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算))及び条((相続等に係る損害保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算))の規定の適用を受ける年金
(9) 役務の提供の対価が給与等とされる者が支払を受ける号《源泉徴収義務》に掲げる契約金
(10) 就職に伴う転居のための旅行の費用として支払を受ける金銭等のうち、その旅行に通常必要であると認められる範囲を超えるもの
(11) 役員又は使用人が自己の職務に関連して使用者の取引先等からの贈与等により取得する金品

(事業から生じたと認められない所得で雑所得に該当するもの)
35-2 次に掲げるような所得は、事業から生じたと認められるものを除き、雑所得に該当する。
(1) 動産の貸付けによる所得
(2) 工業所有権の使用料に係る所得
(3) 温泉を利用する権利の設定による所得
(4) 原稿、さし絵、作曲、レコードの吹き込み若しくはデザインの報酬、放送謝金、著作権の使用料又は講演料等に係る所得
(5) 採石権、鉱業権の貸付けによる所得
(6) 金銭の貸付けによる所得
(7) 不動産の継続的売買による所得
(8) 保有期間が5年以内の山林の伐採又は譲渡による所得

以下省略

所得税基本通達35条

と、いろいろ書かれています。

事業所得なのか雑所得なのかどう区分したらいいのか…は、その収入を得るために行う行為が事業であるかないかです。

自己申告で「事業です」と言って確定申告しても、認められないことがあります。

だから、それが事業なのかそうでないのかを判断して、事業でなかったら雑所得として確定申告しなければなりません。

 

事業所得にするとなにがいいのか?

そもそも事業所得にするとなにがいいのか…

雑所得でも事業所得と同じように経費を収入から引けます。

だったら、同じではないか…と思われるかたもいらっしゃるかと思いますが、事業所得するとお得感のある計算の仕方ができるのです。

①他の所得と損益通算ができる(事業所得が赤字になったら、赤字分の金額を給与所得からマイナスできる)

②家族に対する給料が経費になる

③赤字になったら、その赤字が繰り越せる

④青色申告だったら、収入から経費を引いた利益からマイナスできる金額がある(所得を少なくすることができる)

などがある。これが事業所得と雑所得の違いです。

給与所得が多い方は、事業所得にして経費が多くて赤字になるようであれば、絶対にお得になります。支払う税金が安くなります。

裁判所の判断は・・

しかし、お得になるからと「事業です」と言って、どんな副業収入も事業所得にできるわけではありません。

裁判所の判断では、「こうだったら事業」という定義が決まっているみたいです。

 

所得税法第27条第1項及び所得税法施行令第63条《事業の範囲》に規定する事業とは、その業務の営利性・有償性・継続性・反復性の有無のみならず、取引自体が事業としてなじみ得るか否か、取引の目的、自己の危険と計算における企画遂行性の有無、その取引に費やした精神的・肉体的労力の程度、人的・物的設備の有無、資金調達方法、その者の職業・経歴・社会的地位・生活状況、相当期間安定した収益が得られる可能性が存するか否かなどの諸点を総合勘案し、一般社会通念により事業と認められる社会的客観性が具備されているものと解するのが相当である。

 

金銭貸付けによる所得が所得税法第27条第1項に規定する事業所得に該当するか、所得税法第35条に規定する雑所得に該当するかを判定するに当たっては、租税負担の公平を図るため、所得を事業、雑所得等に分類し、その種類に応じた課税を定めている法の趣旨、目的に照らし、当該金銭貸付行為の具体的態様等に応じてその性格を客観的に判断すべきものである。すなわち、金銭貸付行為に事業性が認められるためには、それが営利性、有償性を有し、かつ、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる態様で行われるものであることが必要であると解されるが、その判断に当たっては、金銭貸付行為を行うに至った経緯と目的、貸付資金の調達方法、貸付金の利息約定の有無及び利率の高低、貸付先及び貸付口数の多寡、貸付先との関係の濃淡、契約書等の作成状況、人的・物的設備の状況、帳簿等の具備状況、担保権の設定の有無、貸付けのための広告宣伝の状況、関係官庁・団体への届出等の有無、貸付債権回収の努力その他諸般の事情を総合勘案し、社会通念に照らして事業としての営利性、継続性、客観性等が認められるか否かを検討することが相当と認められる。

(平12.9.19裁決、裁決事例集No.60185頁)

 

事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいい

昭和56424最高裁判所第二小法廷

 

裁判所としては、どのようなものを事業所得にしていいのかという判断は

①その事業からの所得が生活の基盤となっているか

ほかに職業を持っているときは、要注意です。

②営利性・有償性・継続性・反復性があるか

③事故の責任と計算が成り立っているか

④人物的資源の投入の多寡

⑤開業届等の手続きの有無

開業届をしてないと事業所得にしてはダメではないのですが、手続きが法の規定に従っているかどうかも判断の基準のひとつになるようです。

これらの要件を検討して、事業所得か雑所得かを判断します。

 

所得の区分で事業所得で赤字を出していて損益通算している場合に、雑所得と判断されてしまうと税金を追加で支払わなければならなくなります。

事業所得とするのは、要件を見たいしているかをちょっと考えてみてみてはどうでしょうか。

他に事業所得かどうかが争われた事件がありますので、参考に見てみられてもいいと思います。

他の所得区分が争われた事件

 

 

【足あと】

昨日は、以前勤めていた事務所の所長のもとへ夏のご挨拶に伺いました。

現在の私自身の状況にダメ出しをされ、「気にしないや~」と思いつつ・・・・少々へこんで帰ってきました。

まぁ気にしていることではあったのですが、「ダメだ!」と言われるとへこみますね。

っと、いろいろへこんで弱気なことを昨日から思ったり書いたりしていると、「まぁいいや~」という気になってきました。

自分は自分ですから・・

 

 

【昨日のにっこり】

コンサルティングを受け一歩進めたこと

鳥と大根の煮物がおいしかったこと

寝坊したけどいつも通りの時間を過ごせたこと