使用者の方が、職場で従業員さんから悩み事を聞くことがあるかもしれません。
職場に残っているのだからと、悩み事を聞いている時間を時間外労働の時間に含めないといけないのでしょうか?
※海の見えるレストラン
労働時間とは
そもそも労働時間というのは、使用者の指揮命令下におかれている時間です。
労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。
そのため、次のアからウのような時間は、労働時間として扱わなければならないこと。
ただし、これら以外の時間についても、使用者の指揮命令下に置かれていると評価される時間については労働時間として取り扱うこと。なお、労働時間に該当するか否かは、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんによらず、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであること。また、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されるものであること。
ア 使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間
イ 使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)
ウ 参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間
※労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)[PDF形式:157KB]
リーフレット『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』[PDF形式:1,922KB]
悩み事を聞く時間は、労働時間?
では、従業員さんから悩みをもちかけられて、使用者が職場でその悩みを聞いてあげるのは、労働時間となるのかどうか・・・
その悩みを聞いてあげることについて、使用者のほうから悩みを聞いてあげるから、「仕事が終わったら残っていて」と言うと、使用者が時間外に残ることを指示していることになってしまいます。
これは、時間外労働の時間として計算しないといけなくなります。
しかし、従業員さん「悩みを聞いて欲しいので、仕事が終わった後に聞いて下さい」と言われたとしたらどうでしょう。
これは、使用者が仕事が終わった後で残るように指示はしていないですよね。
こんな場合は、職場で悩みを聞いてあげたとしても、時間外労働の時間として計算しなくてもいいそうです。(労働基準監督署に確認したところによると)
しかし、タイムカードで労働時間を管理していたとしたらどうしたらいいのか・・・
そんな場合は、悩みを聞いてあげる前に、タイムカードを打刻してもらってから悩みを聞いてあげてもいいそうです。
そうすると、悩みを聞いてあげているのだけど、「これは仕事のことなのに!」と従業員さんとの間で、トラブルになることもあるかもしれません。
そんなときは、従業員さんから悩みを聞く前に、
「これは仕事に関することでないので、残業時間には含まれないことになりますよ」とか、
「30分だけ聞きましょう。その時間は時間外労働の時間として計算しますが、それ以上の時間は時間外労働の時間としては計算できないので、了解してね」とか、
「36協定の時間外労働の時間を超えてしまいそうになっています。長い時間は聞くことはできないけど、完結に話してみて」とか
時間外労働の時間にならないことを承諾してもらっておくのがいいみたいです。
悩みの相談をもちかけられることが多くなるようであれば、就業規則の内容を変更して、時間外労働の時間についての規定を作るのもいいと思います。
また、時間外労働の時間について規定を作って、従業員さん個々に通知をするものいいと思います。
悩みを持ちかけた人ばかり、時間外労働の時間が増えて残業代が増えるのはおかしなことです。
どこかで、線引きをしておいたほうがいいと思います。
使用者であれば、従業員同士のトラブルは解決しないといけないのですが、特定の誰かだけに時間を割いて、その人ばかりの話を聞いて、給料が増えるのは防ぎたいですよね。
個々の相談は、管轄の労働基準監督署に相談するのがいいですよ。
全国労働基準監督署の所在案内 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
<参考>
労働時間 兵庫労働局 | 労働時間 (mhlw.go.jp)
時間外労働の限度に関する基準 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
時間外労働・休日労働・深夜労働 | 大阪労働局 (mhlw.go.jp)
【足あと】
昨日は、久しぶりに租税教室の講師として、小学校へ行きました。
授業が終わってから、「こんなときはどうなの?」「これってどういうことなの?」などなど
質問をいろいろされて、とても楽しかったです。
小学生も税金について、いろいろと疑問に思うことがあるんですね~
【昨日のにっこり】
租税教室の講師として授業をしたこと
小学生からいろいろと質問を受けたこと
パソコンの接続がうまくいかなかったけど、授業前になんとかなったこと