契約が業務委託契約や請負契約を結んでいたとしても、
その相手方から「時間的、空間的拘束」を受けている場合は、
事業所得ではなく給与所得となる場合があります。
※こいのぼり
事業所得とは
個人で開業していて、事業を営んでいる方は、その収入が事業所得として計算されます。
個人で開業しているので、働いた収入はすべて事業所得・・・と処理されると思います。
しかし、そもそも事業所得とは
事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得
です。
給与所得とは
では給与所得とは
給与所得とは雇傭契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいう。なお、給与所得については、とりわけ、給与支給者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるもの
です。
契約の形式ではなく、相手方とどのような関係かで、給与所得かどうかが決まります。
たとえば、契約としては請負契約だけれども、相手方から「〇時~〇時まで勤務、ここで毎週〇曜日に働いて」となおかつ、「仕事に使うものはすべて相手方が用意、リスクを負わない」などとなった場合には、サラリーマンと同じような働き方になっています。
このような場合は、契約がどうであれ、事業所得でなく給与所得としてみなされることがあります。
提供される労務の内容について高度の専門性が要求され、本人にある程度の自主性が認められる場合であっても、労務がその雇用又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供され、その対価として得られた報酬等である限り、給与所得に該当すると解するのが相当である。
このように、事業所得の本質は、自己の計算と危険において独立して反復継続して営まれる業務から生ずる所得である点にあり、給与所得の本質は、自己の計算と危険によらず、非独立的労務、すなわち使用者の指揮命令ないし空間的、時間的な拘束に服して提供した労務自体の対価として使用者から受ける給付である点にあると考えられる。
そうすると、営利性や有償性を有し反復継続して行われる業務ないし労務の提供という経済的活動から得られる収入が事業所得に該当するか給与所得に該当するかは、自己の計算と危険によってその経済的活動が行われているかどうか、すなわち経済的活動の内容やその成果等によって変動し得る収益や費用が誰に帰属するか、あるいは費用が収益を上回る場合などのリスクを誰が負担するかという点、遂行する経済的活動が他者の指揮命令を受けて行うものであるか否かという点、経済的活動が何らかの空間的、時間的拘束を受けて行われるものであるか否かという点などを総合的に考慮して、個別具体的に判断すべきである。
※(令和3年11月19日裁決)| 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所
非開業の医師が関与先病院等から受ける報酬は事業所得ではなく給与所得であり、また、これらの報酬は法人設立後においても個人に帰属するとした事例
裁決事例集 No.34 – 13頁
非開業の医師である請求人が関与先病院等から受ける報酬は、対価支払者の指揮、監督に服して非独立的になされ、かつ、自己の計算と危険が伴わない労務提供の対価であるから、給与所得に該当するものであり、また、これらの報酬は、[1]関与先病院等は請求人が設立した法人に業務委託をしたことはないこと、[2]関与先病院等における請求人の従事内容は、客観的にみて請求人個人においてのみなし得るものであること等から、その報酬は個人に帰属する。
※非常勤医師の報酬 | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所
自宅を事務所として、自宅にまつわるいろいろなものを経費として落とせるから事業所得に・・・とされる方もいらっしゃるかもしれませんが、働き方がどうなのかを確認してみてください。
たとえ給与所得となったとしても、給与所得は給与所得控除がありますので、一定の金額の経費が一定の割合で控除されることになりますので、一律に事業所得のほうが得をするということもないかと思います。
【足あと】
ホルモン焼うどんを作りました。
最近時々作るのですが、おいしいです。
もともとホルモンが好きなので、よけいおいしいです。
【先週のにっこり】
ホルモンがおいしかったこと
散歩をして気分転換をしたこと
息子が将来のことを考えていることを教えてくれたこと