最近、診療所に医師会から民法の改正についての文書が届いていませんか?
これって、診療所にどんな営業があるのでしょうか・・
※宮地嶽神社民法の一部改正って何?
ニュースで一時期「民法の平成の大改正!」などと、大きく取り上げられていたことを覚えていらっしゃいますでしょうか。
それから数年経ったので、「あ~そういえばそんなこともあったかな・・」となっているかたもいらっしゃるかもしれません。
では、診療所に影響することで、何がどう改正されたのか・・
消滅時効が改正になったのです。
改正する以前の法律は
消滅時効が3年でした。
(三年の短期消滅時効)
第百七十条 次に掲げる債権は、三年間行使しないときは、消滅する。ただし、第二号に掲げる債権の時効は、同号の工事が終了した時から起算する。一 医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権
二 工事の設計、施工又は監理を業とする者の工事に関する債権
しかし、改正されると、消滅時効は5年又は10年になりました。
(債権等の消滅時効)
第166条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。
消滅時効って何?
消滅時効が改正になり、なにやら診療所に影響してくるらしいが、そもそも消滅時効ってなんなのか気になりますよね。
消滅時効とは、法律が定める一定期間を経過することで、法律上発生していた権利が消滅すること。(新実務家のための税務相談 民法編 参照)
つまり、診療所がもっている請求する権利(診療報酬や患者さんの一部負担金を請求する権利)を一定期間請求しないで放置しておくと、いくら報酬をもらえる権利があるといっても請求する権利がなくなってしまいますよ、ということです。
民法の改正が及ぼす診療所への影響①
最近、下記のような文書が診療所あてに医師会から届いてはいないでしょうか。
これが、上記の民法改正のことです。
この文書は、下記厚生労働省からの事務連絡によります。
事 務 連 絡 令和 2 年5月 11 日 厚生労働省保険局医療課 支 局 …
診療報酬請求
では、民法の改正によって診療所での診療報酬請求についての影響については・・
上記の民法の条文第166条についてみると、
診療報酬請求は患者さんを診療をして、診療報酬を請求できることとなります。また、診療報酬を請求することができることを知ることとなります。
ですから、民法第166条の
権利を行使することができることを知ったとき=権利を行使することができることができるとき
と通常はなります。このことにより、診療報酬請求は患者さんを診療して、レセプト請求することができることとなったときから5年間請求しなかったら、請求する権利がなくなってしまう(請ん求しても報酬をもらえなくなる)のです。
患者さんの一部負担金
患者さんが窓口で支払う一部負担金についても同様です。
診療所が患者さんを診察した時点で、患者さんに対して一部負担金を請求できる権利が発生します。
通常であれば、その場で患者さんの一部負担金をいただきますが、中には持ち合わせがない方や電話診療をして、窓口で一部負担金を受けとれずに窓口未収金として残ってしまう場合もあります。
このような場合においても、上記の診療報酬のように5年間患者さんに対して一部負担金を請求しなかったときには、その請求する権利はなくなってしまいます。
ですから、診療所で窓口未収金の取り扱いをどうするかを決めておくのがいいかもしれません。
いつまでたっても、何年も前の窓口未収金が回収できずに放置されているといったことはないよう、5年間放置されている窓口未収金は患者さんに請求できなくなっているので、損失に計上することとなります。
【足あと】
週末は自宅から出ず、映画と読書でした。
北九州市が全国ニュースに出てくるのは嬉しいのですが、今回はちょっと・・・
早く落ち着いた日が来ないかな~と思っています。
【先週のにっこり】
「くすのきの番人」を読み終わったこと
エベレストのビデオを見たこと
時間記録を数日続けることができていること