診療所において薬の卸業者さんと新しく取り引きを始めるときに、
「契約書を結んでください」と言われると思います。
その「契約書」に印紙を貼ってますか?
※小倉の旦過市場の路地
継続取引をするときの契約書
診療所において薬の卸業者さんとの間で、今後継続的に薬の取り引きをしていこうとするときに「取引基本契約書」を結ぶことがあるかと思います。
その契約書に印紙を貼りましたか?
下記のように契約書に印紙を貼付ける箇所があるのに、貼付けないでそのままになっていませんか?
これって気になりませんか?
もしかしたら、貼らないといけないのに貼っていなくてそのままになっているとか・・・
印紙税が課せられる継続的取引の基本となる契約書(第7号文書)
上記のような「取引基本契約書」は、印紙を貼らないといけない契約書に該当します。
国税庁によると
印紙税額一覧表の第7号文書の「継続的取引の基本となる契約書」とは、特定の相手方との間において継続的に生じる取引の基本となる契約書のうち次の文書をいい、税額は1通につき4,000円です。
ただし、その契約書に記載された契約期間が3か月以内であり、かつ、更新の定めのないものは除かれます。
通常であれば、4,000円の印紙税を納めないといけません。
しかし、薬の卸業者さんとの取引基本契約書には貼ってない・・・
これは、診療所が印紙税を納めなくてもいいからなのです。
だから、取引基本契約書に印紙が貼っていなくても、脱税しているわけではなく、ぜんぜん問題がないのです。
では、なぜ・・・
薬の卸業者さんとの取引基本契約書で、印紙税を納めないといけない「継続的取引の基本となる契約書」とはどのようなものなのかというと・・
「営業者間における」取引の契約書であるものが、印紙税を納める契約書となります。
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(1) 売買取引基本契約書や貨物運送基本契約書、下請基本契約書などのように、営業者間において、売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負に関する複数取引を継続的に行うため、その取引に共通する基本的な取引条件のうち、目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格のうち1以上の事項を定める契約書
ここにいう「営業者間において」とは、診療所と薬の卸業者さんとの間も「営業者間において」の取引のような感じもしますが、そうではありません。
診療所も利益が出れば、一般の会社のように法人税を納税します。
営業しているから利益が出て、法人税を納税している。
という理屈ではありません。
印紙税における営業とは・・
「利益を得る目的で、同種の行為を反復的、継続的になすことであり、営利目的があるかぎり、現実に利益を得ることができなかったとしても、また当初反復、継続の意思があるかぎり、1回でやめたとしても営業に該当します」
これだと、診療所も営業を行っているようですが、
個人診療所も医療法人も営業を行っていないとされます。
個人診療所の医師は、商法において商行為を行っているとは言えず、営業者に該当しません。
医療法人は利益金又は剰余金の配当が禁止されている法人なので、営業者に該当しないのです。
営業者とは、一般に営業を行っている者をいい、営業とは、利益を得る目的で、同種の行為を反復的、継続的になすことであり、営利目的があるかぎり、現実に利益を得ることができなかったとしても、また、当初反復、継続の意志があるかぎり、1回でやめたとしても営業に該当します。
具体的には、個人の場合、個人商店などの経営者は営業者に該当しますが、商法における商行為に該当しない行為を業務とする医師、あん摩・マッサージ・指圧師、弁護士、司法書士等のいわゆる自由職業者、農林漁業等の原始生産者、会社員等は営業者に該当しません。法人については、株式会社等の営利法人は営業者に該当しますが、公益社団法人、公益財団法人、学校法人などの公益法人は営業者に該当しません。
また、会社以外の法人で、法令又は定款の定めにより利益金又は剰余金の配当又は分配をすることができる法人(例えば、農業協同組合、信用金庫、消費生活協同組合等)が出資者以外の者と行う取引は営業者の行為とされています。
とうことで、診療所と薬の卸業者さんとの間の「取引基本契約書」に印紙を貼っていなくてもOKなのです。
脱税はしていません。
参考
【足あと】
決算を組んでいて、足踏みしている感じです。
なんでこんなにも前に進まないのか・・・ちょっと落ち込んでしまいました。
【昨日のにっこり】
労働基準監督署に行く準備ができたこと
早めに寝ることができたこと
美味しいサツマイモチップスを食べたこと