海外に居住しているけど、日本に不動産を持っていて不動産所得がある場合、
確定申告はどうしたらいいのでしょうか・・
※耶馬渓の道端にて
海外に居住している場合「非居住者」の判定
日本にいたのだけど、海外勤務となってしまって海外に住むようになった場合、「居住者」か「非居住者」かで確定申告のやり方が違ってきます。
「居住者」か「非居住者」かの判断は、
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
※No.2875 居住者と非居住者の区分|国税庁 (nta.go.jp)
「非居住者」に該当すると、「国内源泉所得」に対して税金が課されます。
国内源泉所得とは
国内源泉所得の範囲
「国内源泉所得」には次のようなものがあります。
(1) 恒久的施設帰属所得、国内にある資産の運用または保有により生ずる所得、国内にある資産の譲渡により生ずる所得
(2) 組合契約等に基づいて恒久的施設を通じて行う事業から生ずる利益で、その組合契約に基づいて配分を受けるもののうち一定のもの
(3) 国内にある土地、土地の上に存する権利、建物および建物の附属設備または構築物の譲渡による対価
(4) 国内で行う人的役務の提供を事業とする者の、その人的役務の提供に係る対価
例えば、映画俳優、音楽家等の芸能人、職業運動家、弁護士、公認会計士等の自由職業者または科学技術、経営管理等の専門的知識や技能を持つ人の役務を提供したことによる対価がこれに当たります。
(5) 国内にある不動産や不動産の上に存する権利等の貸付けにより受け取る対価
(6) 日本の国債、地方債、内国法人の発行した社債の利子、外国法人が発行する債券の利子のうち恒久的施設を通じて行う事業に係るもの、国内の営業所に預けられた預貯金の利子等
(7) 内国法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配等
(8) 国内で業務を行う者に貸し付けた貸付金の利子で国内業務に係るもの
(9) 国内で業務を行う者から受ける工業所有権等の使用料、またはその譲渡の対価、著作権の使用料またはその譲渡の対価、機械装置等の使用料で国内業務に係るもの
(10) 給与、賞与、人的役務の提供に対する報酬のうち国内において行う勤務、人的役務の提供に基因するもの、公的年金、退職手当等のうち居住者期間に行った勤務等に基因するもの
(11) 国内で行う事業の広告宣伝のための賞金品
(12) 国内にある営業所等を通じて締結した保険契約等に基づく年金等
(13) 国内にある営業所等が受け入れた定期積金の給付補てん金等
(14) 国内において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約等に基づく利益の分配
(15) その他の国内源泉所得
例えば、国内において行う業務または国内にある資産に関し受ける保険金、補償金または損害賠償金に係る所得がこれに当たります。
これらについての課税方法は、国内源泉所得の種類、恒久的施設の有無、国内源泉所得が恒久的施設に帰せられる所得か否かによって異なります。なお、租税条約によって国内源泉所得について異なる定めがある場合は、租税条約に従うことになります。
また、上記(1)、(15)以外は源泉徴収の対象となります。
※No.2878 国内源泉所得の範囲(平成29年分以降)|国税庁 (nta.go.jp)
非居住者が日本の不動産所得がある場合
非居住者が日本の不動産所得がある場合で、その所得が基礎控除額を超えるときは、日本での確定申告が必要になります。
その場合、納税管理人(自分の代わりに申告や納税を行ってもらう人)の届け出をして、納税管理人に申告、納税を行ってもらうことになります。
年を通じて海外に勤務している場合
海外勤務となった年の翌年以後も、日本国内に国内源泉所得があり、その所得の金額が基礎控除額を超える場合には、原則として、翌年2月16日から3月15日までの間に納税管理人を通じて確定申告をする必要があります。
また、国内にある不動産の賃貸料については、原則として、非居住者がその支払を受ける際に20.42パーセント(所得税20パーセント、復興特別所得税0.42パーセント)の税率で源泉徴収されますが、この源泉徴収税額の還付を受けるための申告を行うこともできます。
No.1926 海外勤務中に不動産所得などがある場合|国税庁 (nta.go.jp)
非居住者の方が、確定申告を行う場合、配偶者控除や扶養控除の適用はありません。
納税管理人の選任
納税管理人を定めたときには、その非居住者の納税地を所轄する税務署長に「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を提出する必要があります。この届出書を提出した以後、税務署が発送する書類は、納税管理人あてに送付されますが、確定申告書は非居住者の納税地を所轄する税務署長に対して提出します。
なお、納税管理人は法人でも個人でも構いません。
また、帰国し居住者になるなど、先に選任していた納税管理人を解任する場合は、納税地を所轄する税務署長に「所得税・消費税の納税管理人の解任届出書」を提出しなければなりません。
おって、納税管理人を変更する場合には、既に届け出ている納税管理人を「所得税・消費税の納税管理人の解任届出書」を提出することにより解任した上で、「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を提出することにより新たな納税管理人を選任してください。
※No.1923 海外勤務と納税管理人の選任|国税庁 (nta.go.jp)
<参考>
No.2873 非居住者等に対する課税のしくみ(平成29年分以降)|国税庁 (nta.go.jp)
No.2029 確定申告書の提出先(納税地)|国税庁 (nta.go.jp)
【足あと】
税理士の先輩方から、いろいろと教えていただけています。
実務をいろいろと教えてもらうことができて、楽しくうれしいです。
仕事が楽しくできることは、とっても幸せなことだな~と感じております。
【昨日のにっこり】
いろいろと教えてもらえたこと
朝からすっきり起きることができたこと
無事に1日過ごすことができたこと